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「…よいしょっ!これで最後かな?」
東京の最寄り駅から15分程の防音付きのワンルームのアパート。今日から美都はここで一人暮らしを始める。
「ふぅ。こんなもんかな!」
一人暮らしで荷物も少なく、運んだばかりの段ボールはすでに綺麗に畳まれ、なかの荷物もすっかり収納されていた。
「荷物の整理も終わったし、お隣の人に挨拶しなきゃ。」
美都は手土産を持ち隣の部屋へ向かった。
――ピンポーン。
「は~い」
ガチャッ!
「あっ!あのぅ…、隣に引っ越してきた葉柴と申します。これからよろしくお願いします!」
はきはきとした声で挨拶し、手土産を渡した。
「あ、すいません。渡辺里香です~。どうぞよろしく~。」
隣人はやさしい雰囲気のおっとりとした女性で美都と年も近いようだ。
「困ったら何でも言ってくださいね~。」
「はい!」
――やさしそうな人で良かった…。
そのあとすこし世間話をしてすっかり仲良くなった二人。里香は美都より二つ年上の音大学生。ピアニストを目指し、美都と同じく上京してきたようですっかり意気投合し、別れる頃には
「じゃあね、里香!」
「うん、またね!美都!」
と、名前で呼び会う仲になっていた。
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