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「行ってきまーす!」
「はーい。いってらっしゃい!」
元気良く家を出た女子高生は気持ち良く晴れた青空の下、足取り軽く学校へと向かった。
葉柴美都(はしばみやこ)18歳、受験を控える高校3年生である。
彼女は家から徒歩十分程の駅へ着き、定期を自動改札機にかざした。
「はぁ。」
電車に揺られながら考えるのは10日前のオーディションの結果発表のことである。
美都は小さい頃からの“歌手”という夢を叶えるため、先日母親には内緒で大手事務所のオーディションを受けたのだ。
結果は見事当選。養成期間として1年間東京の養成所でボイストレーニングなど歌について勉強し、晴れてデビューすることになった。
そんな彼女のため息の理由は母親である。彼女が小さい頃は歌手になることに賛成していた母親であったが、美都が成長するにつれ反対するようになった。
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