俺は神(桜の神の恋)

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女は大きな袋を持って一人でゴミを拾っていく。 俺に謝りながら時には、小さなスコップを持って俺の根元を傷つけないよ掘り返しは埋めを繰り返していた。 俺はきっとこの頃からなのだろう。 俺が人だったら、と考えるようになったのは、共に生きられ隣に居られる存在だったならと…。 想いだしたらきりがなく、たった一度と思い人になってみた。 桜の自分が今だけ、今だけは人間なのだ。 「……こんにちは」 女の控えめの声は少し疲れているのがよく分かった。 「こんにちは」 初めて交わした挨拶。 「この桜綺麗ですよね」 と俺を誉めてくれる女。 俺は 「そうですか、ありがとう御座います」 と応えると女はびっくりしていた。 すると、女は俺に頼み事をして来た。 「写真…一緒に撮っても良いですか?」 と俺は微笑みながら頷いた。 「勿論」 女は鞄から三脚をだし、カメラをセットしているその表情が俺は可愛くて仕方ないと思っていた。 二人で桜をバックにして並び写真を撮った。 女とはいろんな話をしたいろんな事を嬉々として話す女が愛おしかった。 触れたくなった。 ソッと頬に触れてみると女の顔がみるみるうちに朱くなっていった 「な、何か?」 と問われ。 「何も」 と返した。 夕暮れはあっと言う間だった女はゴミの入った袋を持ち上げ、 「では、行きましょう」 と言って振り返ってきただが、 俺は首を振り言った。 「また、お会いしましょう」 と言うと。 「はい!!」 と大きく頷いた。 もう会うことなど無いだろうけれど。 「では、また」 手を振り小さくなっていく女を最後まで見送り俺は桜に戻った。
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