俺は神(桜の神の恋)

4/4

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
次の日、女は来たが泣いていた。 俺の元まで歩み寄ってきて俺をぽかぽかと叩いてきた。 「ヒクッ…ヒクッ……」 涙が地面に染み込みしょっぱい味がした。 「昨日の方は貴方だったんですね」 女は気付いてしまったらしい、 女の手には一枚の写真が握られていた、昨日一緒に撮った写真を俺に見せてくれた。 だが、そこに俺の姿はなく女だけが笑って写っているだけだった。 「……ごめんなさい…ごめんなさい」 と小さな声で謝る女と話がしたかった。 だが、俺は桜、話すことなど出来ないのだ。 だが、もう一度だけ…。もう一度だけ話をしたいそして、俺は人になった 「………そうだ」 神としての禁忌だと分かっていても話したかったのだ。 「あ…」 女は目を大きく見開いた。 「俺はお前を…愛している」 そんな驚きを露わにする女を力強く抱き締めた。 「忘れるな…俺はこの先お前の為だけに咲き誇るということを」 そう言って女から離れ桜にもどった。 女は泣きながら 「はい」 といって泣き崩れた。 そして今も女は俺に会いに来てくれる。 女と夫そして子供を連れて家族で会いに来てくれる。 by Shiki
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加