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次の日、女は来たが泣いていた。
俺の元まで歩み寄ってきて俺をぽかぽかと叩いてきた。
「ヒクッ…ヒクッ……」
涙が地面に染み込みしょっぱい味がした。
「昨日の方は貴方だったんですね」
女は気付いてしまったらしい、
女の手には一枚の写真が握られていた、昨日一緒に撮った写真を俺に見せてくれた。
だが、そこに俺の姿はなく女だけが笑って写っているだけだった。
「……ごめんなさい…ごめんなさい」
と小さな声で謝る女と話がしたかった。
だが、俺は桜、話すことなど出来ないのだ。
だが、もう一度だけ…。もう一度だけ話をしたいそして、俺は人になった
「………そうだ」
神としての禁忌だと分かっていても話したかったのだ。
「あ…」
女は目を大きく見開いた。
「俺はお前を…愛している」
そんな驚きを露わにする女を力強く抱き締めた。
「忘れるな…俺はこの先お前の為だけに咲き誇るということを」
そう言って女から離れ桜にもどった。
女は泣きながら
「はい」
といって泣き崩れた。
そして今も女は俺に会いに来てくれる。
女と夫そして子供を連れて家族で会いに来てくれる。
by Shiki
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