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「ぜぇはぁ…ぜぇはぁ…」
キーンコーンカーンコーン。
ギリギリセーフ…。
「…山岸くん」
門にズラッと並んだ、こわーい風紀委員の中、一年の風紀委員の一人が翔に声をかける。
翔は1年生だから、1年の風紀委員に取り締まられるのだ。
「はぁ…はぁ…。うぅ…、キモチワルイ…。
あ、佐伯くん、おはよぉー」
「おはよう…、じゃないよね?今月に入ってもう5度目のギリギリ登校だよねっ?!」
佐伯勇介(サエキ ユウスケ)。
学年主席の優等生で、翔のクラスの学級委員長。更に風紀委員。絵に描いたような嫌われ者である。
確かに他人にも厳しいが、自分にも厳しく、許すところは許す人徳もあるので、それなりに人望もある。
「そーなんだよ!佐伯くんっ!聞いてよっ!!!」
翔は何気にこの勇介に懐いてる。
そんな翔は、勇介の両肩をつかみ、瞳を潤ませながら訴える。
「な…なんだよ…」
「父ちゃんがねっ!朝ごはんを食べさせるんだっ!!」
「…………は?良いお父さんじゃないか?」
「ちゃんと起きれなかった自分が悪いんだから、男らしくケジメつけろって言うんだよっ!!!」
いよいよ翔の頬に一筋の涙が…。
「……………それで、どうだと言うんだ?」
「ちゃんと起きれてたら、朝ごはんも食べられたんだから、ちゃんと食べてから、遅刻したら自分でしっかり責任取れって言うんだよぉっ!!!」
「…忠告する。それ以上言うな」
「ヒドイでしょっ?!」
佐伯勇介。
瞑想しながらゆっくりと深呼吸。
そして…。
「お前はアホかぁぁ~っ!!!」
遠くで上級生の風紀委員が「今日も佐伯の声はよく通るな」と、ほのぼのとしていた。
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