0:道化師の息子

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「ぜぇはぁ…ぜぇはぁ…」 キーンコーンカーンコーン。 ギリギリセーフ…。 「…山岸くん」 門にズラッと並んだ、こわーい風紀委員の中、一年の風紀委員の一人が翔に声をかける。 翔は1年生だから、1年の風紀委員に取り締まられるのだ。 「はぁ…はぁ…。うぅ…、キモチワルイ…。 あ、佐伯くん、おはよぉー」 「おはよう…、じゃないよね?今月に入ってもう5度目のギリギリ登校だよねっ?!」 佐伯勇介(サエキ ユウスケ)。 学年主席の優等生で、翔のクラスの学級委員長。更に風紀委員。絵に描いたような嫌われ者である。 確かに他人にも厳しいが、自分にも厳しく、許すところは許す人徳もあるので、それなりに人望もある。 「そーなんだよ!佐伯くんっ!聞いてよっ!!!」 翔は何気にこの勇介に懐いてる。 そんな翔は、勇介の両肩をつかみ、瞳を潤ませながら訴える。 「な…なんだよ…」 「父ちゃんがねっ!朝ごはんを食べさせるんだっ!!」 「…………は?良いお父さんじゃないか?」 「ちゃんと起きれなかった自分が悪いんだから、男らしくケジメつけろって言うんだよっ!!!」 いよいよ翔の頬に一筋の涙が…。 「……………それで、どうだと言うんだ?」 「ちゃんと起きれてたら、朝ごはんも食べられたんだから、ちゃんと食べてから、遅刻したら自分でしっかり責任取れって言うんだよぉっ!!!」 「…忠告する。それ以上言うな」 「ヒドイでしょっ?!」 佐伯勇介。 瞑想しながらゆっくりと深呼吸。 そして…。 「お前はアホかぁぁ~っ!!!」 遠くで上級生の風紀委員が「今日も佐伯の声はよく通るな」と、ほのぼのとしていた。
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