LastChapter―Ⅹ†終局…

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  えっと~……ナビスが、消えてるだと? 「そりゃまた何の冗談……ってわけでもなさそうだな」 コードが、消滅し始めてやがる。それも、ブレたり変色したりと、何かしらのイレギュラーを起こしたコードが片っ端から。 コードの消滅。それはそのデータが消滅した事を意味する。“削除”ではなく“消滅”一見すると大差ないように思えるが、削除ってのは削除のプロセスを踏んだ上で削除というシークエンスが行われる。言ってしまえば、証拠が残るわけだ。だが消滅となれば話は変わる。文字通り消えて滅びる、何の手懸かりも一切の証拠も残さず。パソコンのハードが物理的にブッ壊れでもしない限り起こらないイレギュラー。それが消滅。 そして、そのイレギュラーなコードが発生する割合は確実に上昇してる。 つまり……あんまし悠長な事をやってる暇はない。 「MAX。フルダイブして少しでも時間稼ぐぞ」 「ッたく仕~方ねェか」 電脳世界は現実世界の数千分の一で時間が進む。と言うよりは、動作全てが数千倍で行われてる。だから、MAXここに来た時にめちゃくちゃ待たされてキレかけてた。 けど、今までは違う。そうでなくちゃ現実世界の雨雫と会話が成立するわけがない。身体は電脳世界に移しながらも、思考は現実世界て行う。それがさっきまでの俺達。 だが一分一秒でも長く、1bitでも多くの情報が欲しい今、そんなのんびりと過ごすわけにはいかない。    
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