ジョーという女

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翌日、朝から編集室はバタバタしていた 『ジョー!観光バスが横転して怪我人が出てる。すぐに横山と取材いってこい!』編集長は私を指名した 『あ、はい!いってきます!』 珍しい仕事がまわってきた。私達は現場に行き、悲惨な現状をカメラにおさめ、私はメモしたり、インタビューした 幸い死者や重体の人はおらず、私はホッとした 会社に戻り、すぐに記事を書いた でもあの悲惨な現状だったはずなのに、なかなか当て嵌まる言葉が見つからない 焦る…! 記事がまとまらない 私は自分で見た現場と書きたい内容が合わさらないため、頭を抱えた 『ジョー、とにかく一度書いてみて編集長にぼろくそ言われてきなさい。悔しかったらまた書いて持っていくの。つまったら頭冷やして、また続ける』 桜さんは私の頭を丸めた原稿で叩くと、自分のデスクに戻っていった 私は桜さんの言うように記事を書いては編集長にみてもらい、叱られ、原稿を破られた 朝からそれは夕方まで続き、編集長にOKをもらったのは夜の8時を過ぎていた 私はぼんやり会社をでると家に電話をした 『お母さん?会社今終わったところ…ご飯食べて帰るから片付けといて…駅の近くで何か食べる』 電車に揺られ自宅の近くの駅に着いた 駅前の居酒屋で今日は一人飲みした 初めての居酒屋だったけど抵抗なかった。洋風で小さな個室になっていた 生ビールに串かつ、焼鳥とオッサンメニュー こんな姿友達には見せられないな… ダッフィー大好き、オシャレな女の子の私…みんなまさか会社で私がジョーと呼ばれてるなんて知らないだろう 私はため息をつき、生ビールのお代わりをした
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