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「…タカ、」
優しい低音が耳をくすぐる。
川坂と俺との距離がだんだんと縮まった。
しかし、俺は考えるのに必死で気付かない。
「やっぱ知ってんだよな?でも何処で会ったんだ…?」
「俺のこと覚えてない?」
「全く」
「冗談でしょ」
急に視界が少し暗くなって視線を上げると、目の前にクスリと笑う川坂の姿があった。
驚いて距離をとろうと後ずさるが、生憎背後には壁が迫っている。
そうするうちに、川坂に手首を掴まれ、顎を持ち上げられた。
息がかかるほど近い距離。
話すのもためらわれたが、思いきって口を開く。
「おい、…これはなんだ」
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