初 ―オモイツキ―

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    「…………」 王が近くに来たにも関わらず、相変わらず青年は外に目を向けている。 一国の王の前とは思えない態度である。 だが、王はこの態度に慣れているのだろう、ごく普通の調子で青年に話す。 「雷紅。君、自分の年が幾つか…自覚してるよね?」 何の用かと思えば…と思いつつも、雷紅と呼ばれた青年は数秒考えた後、外を見ながら 「13」と答えた。 ――が、ピクッと顔を引きつらせながらも、王は優しく「雷紅」と呼ぶ。 「何でサバを読むの? 19歳だろ?君は」 「分かってんなら聞いてくるなよ。うぜぇな」 「う…うざいって……。 大体嫌だよ、こんなにデカイ13歳!」 「何言ってやがる。もしかしたら居るかもしれねぇぞ? そしたらお前どーすんだ?」 「その時は謝るよ、その人に! ……ってゴメン、ちょっと待って」 相手のペースに巻き込まれつつも、イカンイカンと頭を振ってフーッと息を吐き、落ち着いた王は、190cm超えの雷紅を少し見上げながら続ける。 「今言ったけど、君はもう19なんだよ?そろそろ『アレ』について真面目に……」 真剣に話を始めた時だった。 「ハァァ~」 雷紅はあからさまに盛大なため息を吐いて話を強引に中断させ、この時に初めて顔を向けて王に言った。 「またソレかよ…いい加減に諦めろよ、そろそろマジでハゲんぞ」
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