始まり始まり

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「鬼ごっこしようぜ!」 「やだ」 5月。 高校にも大分慣れてきたなあ……、と思いつつ教室に入ると、挨拶もなしにそんなことを言われた。 なんでこの歳にもなって鬼ごっこなどしないとならんのだ。 「は?今なんと?やらないと言ったのか速人君?」 「なんでそんなにやりたがってんだよ………。だいたい2人だけでやってもつまらんだろ。」 やりたくないけどね。 「そう言うだろうと思ってたぜ!」 くっくっくっと笑い、 「他の人の参加は既に決定しているのだ!」 叫ばれた。 「他って?」 「校内にいる人間すべてだ!」「どんな根回しだよ!」 周りを見れば謎のオーラがひしめいていた。 生徒はおろか先生まで根回ししてやがった。 「授業はどうなるんだよ?」 「気にするな。んなもんどうとでもなる。」 「真也は昔から頭良いもんな………って違う、なんでみんな荷物もってきてないんだ?」 真也が言い出さなかったら今日は普通に授業のはずだろ? 「ああ、俺が速人に言うの忘れてたからだぜ☆」 おい、ふざけるな。 本来、今日は荷物が多い日んだぞ? 俺だけ重いもん背負ってきたってことじゃねえか!チクショー、恨んでやる。 「……で、どうやってみんなを釣ったんだ?」 「そんなの現金見せたらホイホイきたぞ?」 「またかよ……」 「いいじゃねえか。みんなと仲良くなりたいだけなんだしよ」「ハァ……いくら見せたんだ?」 「100万」 金持ちは良いなあ。 前と比べるとまだましだが。 「おっと、そろそろ始まる。ルールは前の黒板に書いておいたから。じゃね☆」 そういって真也は教室を飛び出ていった。 現在8時40分。 今日は疲れる一日になりそうだ。
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