始まり始まり

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『ピンポンパンポ~ン』 間の抜けた真也の声が聞こえてきた。 ボタンが見つからなかったのだろう。散らかってるもんなあ。 『おほん!時間になったので、鬼を発表したいと思います!』 くじはどうした。 『鬼は……でで~ん! 林先生でーす★』 「うわあああああああ!!」 「先生うるさいです」 まあ、叫びたくなるのもうなずける。 逃げる方が楽して賞金を手に入れられるんだから。 それに林先生――林 渡(ハヤシ ワタル)――は体育の先生で、足が速い。 50m6秒はゆうに切っているだろう。 逃げる側の方が、それは活かされただろうに、残念だな。 『では、林先生。 放送室に来て下さい。発信機をお渡しします』 林先生はトボトボと歩いていった。 早く行かないと、追いかける時間短くなりますよぉ。 「「なあ、林先生って足速かったよな?」 「えー、まずくない?」 「いや、このルールなら、飛び道具も使えるから……」」 ………そんな会話が聞こえてくる。 今回も真也の勝ちかな。
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