306人が本棚に入れています
本棚に追加
一同が目を輝かせながら立ち上がり、部屋を出ようとした時に、美奈子は気付いた。
「あれ?まこちゃん、ついて来ないんじゃなかった?」
鋭い指摘。さっきまで亜美の恋愛事情なんて興味ないみたいだったのに?とでも言わんばかりだ。
「あ…あぁ、いや…タテマエよ、タテマエ。」
どちらかと言うとこっちの方が建前だろう。
やっぱり2人の再会の邪魔はしたくないし、そこは友達として大切にしてあげたい…そんな亜美への優しさがにじみ出ていた。
「やっぱり気になるんでしょ。」
レイが今にも黒くて尖った触角と尻尾が生えてきそうな悪どい表情でまことを見ていた。
まことは、ここはそういうことにしてついて行こう、近くで見守ろうと思い、曖昧に笑った。
そして誰にも聞こえないような小さな声で
「…あたしゃ一応止めたからね。」
と呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!