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序章 その壱「破れた約束」
それは遥か彼方、戦乱の記憶。
白銀の髪、白銀の鎧、白銀の毛並みをした馬に股がり、何千何万ともいえる兵を指揮する者がいた。
背中には契りを果たした大剣。
それは重く体にのしかかり、片手で持てるような代物ではない。左腰に収まったもう一つの剣を抜き、それを天へと掲げ上げると、兵は歓喜に震えだち、やがてそれは『不敗の雄叫び』と称された。
前世名 セイバー・デン・リベリア。後に『白銀の鮮血』と恐れられた不敗の王。
その王がどのようにして生涯を閉じたのかは未だ不明。
そして俺だけが知る真実。
馬に股がり、自ら兵を走らせる姿、戦人にして最強。
白銀の髪をなびかせ、戦乱を駆け抜けて逝く。愛しの妻。イノス・デン・リベリアに「必ずお前に勝利という二文字を掲げ帰ってくる」と約束して…。
そして、それは果たされず、鎖は砕けちり一つになってしまった。
一つになってしまった鎖は、また仲間の鎖を探し始めた。
頭中の水溜まりに草露がこぼれ落ち波紋する。
それは何かの合図だった。
そして、それはもう一つの物語が出会いや絆を造り上げていく
事になる。
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