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そのせいもあってか、ARiAは全世界で神同然の扱いを受けている。イエスやアッラーなど、あるようでないようなものだ。
ファクターの中には、ある噂も混じっていた。
『ARiAは、地球上どこにも存在しない』
嘘みたいな話だが、それは全くの事実であった。東西の大国が隈無く探しても、ARiAは発見出来なかった。
コンピューターであるはずのARiAには、その実体がなかったのである。
やがて、世界はARiAによって支配されるようになった。各国の政治。世界中の経済を、ARiAは手に入れた。
しかし、正の部分があれば負の部分もあるのが世の常である。
いつからかコンピューターによる統治国家に疑問を抱き、ARiAに反発する者も現れ始めた。
彼らは自身をロンギヌス(神を殺す槍)と呼んだ。
ロンギヌスは最終的に国家レベルの犯罪者集団と見なされるようになり、世間は彼らを、リベリオン(反乱分子)と蔑むようになる。
そして、2147年。
今もARiAによる世界統治は続き、対するロンギヌスも活動を続けている。
(全く、嫌な空だ……)
煙草を揺らし、オフィスビルの一室から忌々しく天を仰ぐ青年、如月ソウスケは心中で一人ごちた。
彼の目線の先には、ARiA側であろう正規軍の最新戦闘機が、飛行機雲を引きながら飛んでいる。
ここは東側の島国、日本。いや、日本だった所だ。
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