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(これじゃ、前と同じだ……)
世界中で起こる抗争。尽きぬ憎しみの連鎖……。ARiAで救われた世の中は、ARiAによって破壊されようとしている。
しかし、神という存在を得た社会は、なかなかそれを手放そうとはしない。だから、今こうして毎日のように悲劇が繰り返されていた。
(もしARiAがこの状況を見越していたとしたら──)
──ARiAは救いの神などではなく、悪魔の化身だな、という言葉をソウスケは飲み込み、また煙草を口にした。
彼はエリア9にある信仰側の軍事組織に所属している。信仰側と言っても、彼自身はどちらかと言えばアンチARiA派に近い。
それでも信仰側の組織と行動を共にしているのは、そこからARiAに繋がる手掛かりをつかめるかもしれないという、淡い希望があったからである。
「お、いたいた」
ソウスケの背後で突然声が上がった。顔を見ずとも判る。彼と同期の日向リョウだ。
リョウはソウスケの口元に煙草があるのを見て、呆れ顔で口を開いた。
「ったく、また煙草かよ。今のご時世、そんな嗜好品たしなんでんのお前くらいだぞ?」
リョウの言う通り、今となっては煙草など旧世代の遺物に過ぎない。最近ではお目にかかることも稀だ。
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