桜と紋白蝶

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  「大丈夫かい、おばあさん?」  わたしが佇む野原に現れた、一人の若い少女。枯れたわたしに声を掛ける者なんて、今まで一人もいなかったのに。 「おばあさんの声、あたしには届いたよ。でもあんまり叫んじゃ体に悪い」 「あぁ……すみませんねぇ、うるさくしてしまって」  わたしはそんなに大声を上げていたのでしょうか。あの人を救う事も出来ないのに、迷惑を掛ける事は一人前で……  けれど少女は、恥ずかしくてうつむいたわたしに、思わぬ言葉を掛けたのです。 「おばあさんのお願い、あたしなら叶えてあげられるよ」 「――え?」 「あたしも言葉は知らないけれど、代わりに仲間がたくさんいるよ。どうだい、あたしに任せてよ」  ――信じられない。 「どうして……」  どうして見知らぬわたしのために? 「信じられないって顔をしてるね、おばあさん」  少女は頭を掻いて、苦笑い。わたしはきっと、すっとんきょうな顔なんでしょうね。  
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