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桜と紋白蝶
あなたは、私が産声を上げたその時から、この桜海町にいたのでしたね。
私は、柔らかに舞うあなたが好きでした。
幼い頃、学び舎の友にからかわれ涙を流したその時も、大人になって、とある女性に恋をしたその時も、あなたと共にあったのです。
だから、残念でならないのです……
あなたが再び目を開く日を、私は待っているのです。
こんな皺だらけの老人に言われても、美しいあなたは困ってしまうでしょうか。
私が死ぬ前に、あなたの咲き誇る姿は見られないでしょうか――
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