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「………ん」
寝汗の気持ち悪さで目を覚ました戒は、夢見の悪さに顔をしかめて、寝ていたベッドに腰掛け、着ていたインナーを脱ぎ捨てる。
初夏、と言っても暑い何とも言えない時期。
戒はサイドテーブルの桶の中に魔法で水を出す。ついでにコップにも。
魔法には個人の属性はあるが、その属性以外使えないと言うわけではない。
ただ、対になる属性の魔法は威力が半分以下になるだけで。
「……もうすぐ夜明けだ…」
戒は東側にある窓を見つめて呟いた。
白みだした空は夜が明ける事を報せる。
戒はコップに注がれた水をいっきに飲み干し、立ち上がる。
「…―聖なる焔よ、邪悪なるものを払え―」
戒は両の目を閉じて、祓いの呪(マジナ)いを唱える。
すると窓の開いていない室内に戒を中心とするように風がおこる。
風がやむと戒は、はっと息を吐き、目をあける。
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