非日常よ こんにちは

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が、開かなかった。それどころか、力を込められた扉は悲鳴すら上げず、ビクともしなかった。 しかし急いでいるせいか、鬼原はそんなことも気にせず次の部屋に向かって走り出した。 「た 助かったぜ…。流石だコウ!」 「少しは反省しろよな…。これっきりだぞ。」 「ヘイヘイ。その言葉はいつも聞いてるぜ。」 そう言われたコウサクは表情が少し歪んだが、特に何を言うわけでもなく、友人の肩にポンッと手を置いてから立ち上がって、鬼原がすでに二階にいないことを確認してから部屋を出た。 変わらない、涼しげな風が吹き抜ける廊下にでたコウサクには、人とはかわった力があった。 触った物を金属の様に"硬く"する能力。 コウサクが触った物であればどんな薄い紙であろうと鉄板並の硬さになるし、おにぎりであれば歯にも勝る食べられない鉄の塊になる。 さっきの扉はコウサクが触った時から、扉と扉のフチの部分が一つの金属の様に硬くなっており、あたかも鍵がかかっているかのような強度をみせた。 これが異能。 これを持つ人間を、俗に能力者と呼ぶ。 しかし能力者は珍しい存在では無かった。。 世界には10万人をも超える能力者がいるらしい。世界人口的に考えれば何万分の1に過ぎないが、普通ではない人間の数としては多いくらいである。 数ゆえ種類も豊富で、建築に使えそうなものから、オフィスで使えそうなもの。 人を救えるものから、傷つけるものもある。 そんな能力がもたらされた理由は未だ不明で、研究者がやっきになって調べているらしいが、コレといった情報はまだ無い。 説だけがただ増えていき、誰かがなんらかの目的で与えているとか、病原体が進化した形だとか言われているが、どれも中途半端な結論に終着している。
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