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建造物のように巨大な樹がある。その樹自体も巨大な壁に囲まれている。
幹は一周するのに3分はかかりそうだ。葉は青々としげっている。
その樹の前に、1人の少女が緊張した面持ちで立っている。
金色の長い髪にオレンジ色の瞳。年は10歳くらいだろうか。制服らしきものを着ている。
正確には1人ではなく、回りには同じ年頃の少年少女、そして白い服に身を包んだ大勢の大人達が立っていた。
少女はゆっくりと両手を前に上げる。
「世界樹、ユグドラシルよ…私の声に答えて…私はアリア、守護精霊を召喚するもの…ここに世界と契約する!」
少女が叫ぶと、しばらくしてユグドラシルが光だした。目が眩む。そして次に柔らかな風が吹く。
アリアが目を開けると
赤い髪に水色の瞳をした少年が座っていた。
「……アリ、ア……」
少年は呟く。
その瞳は、虚ろだった。
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