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「チッ…体ガ変化し始めタカ…メんドクさいがヤるカ…能力[肉体変位:メタモルフォーゼ]発動…」
呟くようにそう言うとみるみると元の姿に戻って行く。
「コレデ…オワリダッ!……」
少し片言になった神威の言葉と同時に今まで黒く光っていた右手は元に戻り倒れていた狼男は20代後半くらいの男になっていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
男から手を離した神威は呼吸を乱しながら男から離れる。
「神威!大丈夫か!?」
呼吸が荒い神威を心配してかガルが話しかけてくる。
「大丈夫…とはちょっと言わないなぁ、魔力だけじゃなくて獣人の遺伝子までまるごと奪っちまった、かなりきつい……」
と息が絶え絶えな状態の神威。
「クッ…おまけに本能の暴走までご丁寧に奪っちゃうし…、理性が無くなるのはもって一日ってとこかな?」
自重気味にそう言ってると倒れていた男が起き上がった、どうやら意識が回復したようだ。
「こ…此処は……?」
起き上がった男ベルクは辺りを見回す、理性を失って居たせいで記憶が曖昧な状態になっていたのだろう。
「お目覚めのようじゃのう。」
と、ガルは起きたベルクに言葉をかける。
「ド、ドドドラゴン!?」
「なんじゃ?珍獣を見つけたような反応をして。」
(ドラゴンを見れば普通はそんな反応なんじゃ…まぁ俺は違ったけど…。)
と、神威は心中でツッコんだりする。
「あ~もうガルは黙ってて、それから初めまして『重犯罪指名手配犯ベルク・リシュト』さん。」
話をそらすためあえて『重犯罪指名手配犯』と呼ぶ。
それに反応しベルクは此方に振り向く。
「君は…それに私の体はいったい……??」
今まで自分が暴走していた獣人の姿では無く人間の姿をしているから混乱しているようだ。
「分かってるよ、俺にも時間は無いし手短に話させてもらう。」
そう言って神威は自分とベルクが出会った経緯、そして獣人の力を今は自分が持っている事、自分の理性がもって一日であることを話した。
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