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「神威…」
ガルは神威を心配するように呟く。
「何だい?」
声が聞こえたのか神威はガルに振り向くがその顔は笑っていた、だがその笑顔は無理矢理作ったようなものだと直ぐに分かった。
「…無理に笑わなくとも良いぞ。」
「大丈夫…、慣れてるからね。前の世界では知り合いになった人が殺そうとしてくることもよくあったから。
心を半分地べたに置いて、感情を凍らせる、そうしなきゃ生きなきゃいけない時期が合ったからね。」
神威はあっけからんな口調でいうがその事実は重い、知り合いという事は少なくともその人間に対して友好的感情をもつという事である。
その人間が裏切る、しかもそれがよく有ったという事は信じる度に裏切られると同義である、そんなことが繰り返されれば少なくとも人間不振にはなるだろう。
「弔いはもういいじゃろ、今日はもう飯を食べて寝るぞ。」
そう言いガルは西の空に眼を向ける、いつの間にか太陽は西の空の果てに沈もうとし、東の空からは月が登ってきていた。
「昼飯食べてないのにもう夕方か、ガルがそう言うならそうするけどその前にちょっと花を摘んで来るよ、墓に供えておきたいからね。」
「うむ、分かった。」
ガルが了解すると神威は森の中に入って行った。
十数分後、ガルはベルクの骨を埋めた場所を眺めて居ると森から神威が帰ってきた、だが何故か左手にはユリの花が一輪と四角柱の木の棒のようなものを持ち右手には時おり足が痙攣している猪を無造作に引きずっていた。
「花を見つける途中で見かけたから確保しといた、これで晩飯は十分かな。
あぁ、後この棒は目印見たいなもんだよ、流石に何も置いてないと場所が分からなくなるからね。」
神威はガルの近くまで近づくと猪を離しベルクを埋めた所に行くとベルクの骨を埋めたと思われる場所の一歩奥に棒を突き立てる。
その後、神威はユリの花を埋めた場所に置くと両手で合掌した。
「それじゃ、そろそろ食べて寝よっか。」
合掌を終えた神威は早く食べるようにと促す。
「そうじゃな、もう食べるかの。」
そう言うと神威とガルは神威が捕まえた猪を食べると木のうろに入りそのまま眠りに着いた。
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