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走った。ひたすら走った。
そして走りながら決意した。
『オレは絶対に奴らに復讐をしてやる。』と。
後ろに目をやると誰もいなかった。
逃げ切れたのだという安心感が体全体に伝わり一気に体の力が抜けた。
地面に倒れ込み少し考えた。
父と母は死んだ。
奴らに殺されて。
天使じゃなく、人間に殺されたのだ。
復讐を誓ったオレはまた体に力をいれあの場所に戻ろうとした。
まだ奴らがいるかもしれない。
そう思い近くにあった木材を手に取りあの場所まで向かう。
不思議なことに小屋までの道で奴らに出会うこともなかった。
それよりもなんだか静かすぎた。
でもそんなことは気にしていられない。
オレから家族を奪った奴らになんとしても復讐をしたかったから。
たとえ死ぬことになっても。
オレの視界に写ったのは天使と奴らだった。
奴らは無残な姿で死んでいた。
もうただの肉塊でしかなかった。
奴らを殺したのは天使。
両親が殺される原因をつくったのも天使。
オレの復讐を不可能にしたのも天使。
そしてオレはこの日から神を憎み、天使を憎み、自分自身の非力さに涙した。
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