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「言葉が胸に突き刺さるぜ。痛みと掃除の疲れでくたばるかもしれん」
少年は苦笑に顔を歪ませながら、少女にパイプ椅子を渡した。それから、目に付くゴミを袋に入れていく。
「あなたの部屋でしょうに。何を言っているのです」
少女は後半部分を口の噛みながらパイプ椅子を広げ、部屋の扉近くに座った。
「ところで、お母様はいないんですか」
クレープを包んでいた紙をビリビリと破りながら、口を開く。
「仕事」
掃除をしながら適当に返す。汚い、と言っても散らかっていただけで、ゴミを拾うたびに部屋の木目彫の床はだんだんと顔を出して行く。
「そうなのですか。という事は二人っきり……逃げたくなりました」
少年の苦労(?)はつゆ知らず、少女はバナナが覗くクレープをパクリと一口食べる。それを聞いた少年はシニカルに笑った。
「そんなの全く思ってないだろ」
「あう、ばれました」
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