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少年は溢れそうなゴミ箱から、大きい袋へとゴミを移動させる。そしてその袋の口をキュッと縛った。一息、疲れたようなため息を付き、額の汗を拭う。
「コーラ飲みますか」
少女はクレープ持っていない手で、ストローの刺さっている缶を差し出す。
だが、少年はそれを掌で制した。
「いや、いらない」
「なぜですか。今なら『かんせつきっす』のチャンスですよ」
「だからだ。後々なんか要求されそうで怖い」
少年は部屋の大部分を占めているベッドに腰掛ける。
すると、少女は黒い髪を揺らしニッコリと笑った。
「良くわかりました、褒めましょう」
「はいはい、ありがとうよ」
少女とは対称的に、苦笑いを浮かべる。
部屋に散乱していた紙屑などといったゴミは無くなり、後は脱ぎ捨てられた衣類や、ゲームなどのコードが汚く絡まっているのみ。
「綺麗になりましたね、少しは」
「少しってのが余計だ」
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