噴水、公園。

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 少年はそのままの格好で、憂いや呆れを孕んだ声音で言い放った。 「あう。馬鹿なんて酷いです。そもそも『でぇと』だってのに予定も何も考えなかったあなたの方が馬鹿だと思うのですが。何か反論はありますでしょうか」  ロングスカートの裾をゆらゆらと波のように揺らしながら少女は口を開いた。しかし、その言葉には全く感情の感じられない。ただひたすらに淡々と。 「わかった、俺が馬鹿なのは認める。だがな、デートって単語は否定する。世界を否定するほどの勢いでな」 「世界すら否定したら誰もいなくなるじゃないですか。私は嫌です。ミヤコワスレもアカシアも大好きなのですから。あなたがいなくなればいいじゃないですか独裁者ですか馬鹿ですね」 「俺の価値は花以下か」  やっと噴水から目を離し左に座っている自分を見ながら言う少女に、少年は素早くつっこむ。
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