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ひんやりとした風が吹き付ける。遠くからは子供達がはしゃいでいるような楽しそうな声が聞こえてくる。二人は五分ほど撫で撫でられのゆったりした時間を過ごしていた。
そんな中、少女はいきなり「ところで」と口を開くと、その撫でる手を止める。
「なに?」
少年は閉じていた瞼をゆっくり開き、言った。
「話がずれて会話も終わってしまいましたが、今、戻しましょう。『でぇと』では無いのなら何なのでしょうか?」
カクリと首を少しだけ傾げながら少女は言う。少年はいささか悩んでから短く言い放った。
「わからん」
「なんという事でしょう」
少女は大袈裟に驚く。
「なんだよ」
「乙女心を傷つけられました。謝罪を要求します」
まっすぐと自分をみつめる少女。しかし少年は対処法を知っているのかげんなりしながら聞く。
「今回は何が食べたいんだ?」
「酷いです。私が食べ物しか興味が無い女の子だと思っているんですか? クレープが食べたいです」
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