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しんしんと降り積もる雪に閉じ込められてるような気分だ。
静かすぎる教室に、大澄のカリカリとペンを走らせる音が響く。
作文を書こう!そう思った俺の集中力は10分もたたないうちにぷっつりと切れた。
白紙の原稿用紙を残して空を眺める。
「しっかしよく降るなぁオイ」
窓の外には容赦なく降り続く雪、雪、雪。
出窓に座り外を眺める俺の隣に並ぶように大澄が近寄ってきた。
細い首だなぁ…束ねた三つ編みの後れ毛が肌の白さを際立たせてる。
って何考えてんだ俺!アホかっ!
でも何このいい匂い…。
「え?」
大澄が俺の顔を覗き込む。
「!!」
顔が近ぇ!
大澄の目は大きくて、俺の顔が写ってる。
「大澄…」
ガラッ!
「うおおぉっ!?」
「きゃっ…」
いきなり教室のドアが開いて窓からひっくり返った。
「何だお前ら、何してんだ?」
オイ担任…ドアは静かに開けろ。
「今日は休みだぞ?大雪警報出てるからな」
やっぱり!…嫌な予感がしたんだよ。
しかし不便な田舎に住んでる俺にはそんなもん意味がない。
だって、家出る時は警報なんか出てなかったんだ。
「まぁ、もうちょいマシになるまで待ってなよ。アタシは帰るけどね~」
わはは、と笑って担任は行ってしまった。
ガックリと肩を落とす俺を見て彼女が笑う。
「和田君ってわかりやすい」
…ほっとけ。
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