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大澄はちっこくて、長い髪を三つ編みにして子供みたいに見える。
だけど話し方とか笑った顔はすげぇ柔らかいって言うか、大人っぽい。
大澄を形容するなら“ふわっ”だな。
ギュルルルル…キュルルルル…
「…」
グルルルル…グ~キュルルル…
「和田君っ!うるさいよ!」
笑いをこらえてるのか彼女は小刻みに肩を震わせている。
「俺何もしゃべってねぇぞ!うるせぇのは俺の腹だ」
「もう…屁理屈言って」
クスクスと笑いながらミルキーを差し出す。
「少しは紛れるでしょ?」
「サンキュ」
受け取ると大澄は満足そうに微笑んで自分の口にもミルキーを放り込んだ。
その仕草は子供みたいで可愛かった。
可愛い?いや違う誤解だ、子供みたいな仕草が可愛いって事だぞ?
「こんなに寒いと咲くのはまだまだ先かしら」
淋しそうにポツリと呟いた。
「んー?何がー?」
突然溢れだしたやる気を原稿用紙にぶつけながら上の空に聞き返す。
「緋寒桜」
聞きなれない言葉にピタッと手が止まった。
「何?」
「校庭の角にあるでしょ?」
「ヒカンザクラ?」
窓から覗くと寒そうに立ちすくむ一本の木が見えた。
「とても綺麗な花が咲くのよ」
ふわっと微笑む大澄は本気でキレイだった。
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