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3
「姉ちゃん、ちょっと聞きたい事あるんだけど」
姉ちゃんは卒業してすぐ働きに出ている。
「勉強なら小夜に聞いた方がいいよ?」
「その小夜の事で聞きたいんだよ」
キョトンと僕を見て…そして次第に険しくなる姉ちゃんの顔。
「私だって仲良くなりたいのに!あんたがでしゃばって横取りしたくせに!あんたの方がよく知ってるんじゃないの?何?自慢?許せない!」
バカバカと背中を叩く姉ちゃんの手を制して反論する。
「何だよ!姉ちゃんは僕と小夜を会わせてくれようとしてただけなんだろ?」
「遥ばっかりズルい!」
この人ってこんなにやかましい人だったかな…?
ひとしきり暴れると落ち着いたみたいで、姉ちゃんは話し出した。
「口止めされてたんだけどさ。あの日、あんたの目が覚めた日ね。小夜ってばすごい勢いで病院まで走って来たんだよね」
僕はずっと病室のベッドの上だったから知らなかった。
目が覚めたら小夜がいたから。
「あんなに必死な小夜、初めて見たよ。あんたが起きてる事も知らないでさ。そんでね…」
そう言ってクスクス笑う。
「何だよ?教えてよ」
ニタニタしながら姉ちゃんは言った。
「『遥は死なない、約束する』って私を抱きしめたのよー!素敵だったなぁあの時の小夜!」
キャー!って自分の体を抱きしめ悶絶している。
「…姉ちゃん、小夜の事好きなの?」
頬を赤らめて衝撃発言。
「私、負けないからね」
「ぼ…僕だって!小夜は渡さないから!」
姉弟ゲンカはあらぬ方向へ発展してしまったけど、初めて聞いた小夜の事。
いつもクールで掴み所のない彼女が、そんなに必死になってくれていた事が嬉しかった。
そして益々小夜の事が好きになった。
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