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もう何度目かわからないくらいのため息をつき、頭を抱えた。 「な~に辛気くさい顔してんのよっ!」 バシ!っと背中を叩かれて声にならない悲鳴をあげた。 「ため息ばっかりついて。お姉様に話してみなさい、ホレ」 満面の笑みの姉…何だか不愉快だ。 「姉ちゃんには関係ないよ」 プイッと顔を背ける僕に姉ちゃんは追い討ちをかけるように言う。 「小夜の事でしょ。ケンカでもした?」 無言の返事を返すと姉ちゃんは小さな体をボスッとソファに沈めた。 「小夜のそばにいたいんだ。大好きなんだよ」 「うん。分かるよ」 「一緒にいると楽しくて、嬉しくて幸せなんだ。だけど小夜の気持ちが分からなくて、そばにいる自信がないんだ」 そう言って膝を抱きうずくまる僕の顔を姉ちゃんがグイッと持ち上げた。 「小夜と一緒にいるの?」 姉ちゃんの目が微かに揺れる。 「昼寝に付き合うくらいだけどね?」 「遥ぁ…」 何故か不穏な空気が流れる。 「くぉのぉ…贅沢者がぁぁ!」 ドカッ! プルプル震える拳は僕の頬を直撃した。 「な、何すんだよいきなり!」 「うるさい!私なんか挨拶しただけで怒られるし、会話なんて成り立たなかったんだよ?」 「はぁ?何だよソレ!そんなにうるさけりゃ誰だって会話にならないよ!」 「黙れ!私は昼寝なんて付き合わせてもらえる事もなかったんだから!あんたばっかりズルい!」 ボカスカ取っ組み合いのケンカになり、僕は八つ当たりされながら逃げ回った。 姉ちゃん、小夜が避けたがる理由が分かったよ。 落ち着いた姉ちゃんは肩で息をしながら笑った。 「あんた小夜と一緒にいて分からないの?小夜ほど分かりやすい子もいないと思うけど」 クスクス笑いながらくしゃくしゃになった髪を直す。 「だって、気に入らない人をそばに寄せ付けるような子じゃないでしょ?あんたと一緒にいるのはそういう事じゃないの?」 僕の頭をポンポンと叩きながら諭すように言うと不適に笑った。 「そんな事も分からないなら私が奪っちゃうよ?マジで」 「だ…ダメだよ!絶対に渡さないから!」 分かってたはずなのに、何で僕はこんなに不安だったんだろう。 小夜はちゃんと僕に伝えてくれていたのに。 「姉ちゃん、ありがと」 ブイサインで答えてくれた姉ちゃんに僕は勝ち誇ったように言ってやった。 「小夜は笑うとすごくキレイなんだよ」 ブイサインが拳に変わって飛んできた。
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