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6
次の日いつもの如く屋上で小夜を待った。
トントントン…ゆっくり階段を上ってくる足音が聞こえる。
「小夜!」
扉が開くと同時に声が出た。
小夜は一瞬たじろいで、笑う。
「笑顔が眩しいわよ」
いえ、小夜の笑顔には負けます。
僕はいつものようにベンチに座り小夜に膝を貸そうとするけど、小夜は柵にもたれて空を仰いでいた。
「毎日いい天気ね」
「小夜、姉ちゃんには気をつけた方がいいよ」
昨日の会話を思い出して、一応釘をさす。
「里沙がどうしたの?」
「あの人は危険だ」
「?」
小夜の隣に並んで空を見上げた。
「この間はごめんね、あんな事言って」
彼女は何も言わない。
「小夜の気持ち、分かってるはずだったのに」
小夜は優しく微笑んで頷いてくれる。
話を聞いてくれる合図だと思った。
聞くなら今しかない。
「小夜は僕の事…好き?」
分かってる。
分かってるから言葉が欲しい。
「僕は小夜が大好きだよ。もし小夜も同じ気持ちでいてくれるなら…」
言い切る前に小夜は僕にキスをくれた。
あんまり突然だったので僕は瞬きも忘れた。
小夜の瞳に写る僕は真っ赤になっている。
「続き…しよっか?」
「よ、喜んで」
長い腕を僕の首に絡ませて、彼女は甘い唇を寄せてくる。
僕は目を閉じて身を委ねた。
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