第三章 駆ける電狼たち

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爆音を挙げながら迫り来る敵機は3機だ。そのうち1機が緩やかに降下した途端,突如機首を上げて旋回しだした。しかし,機首を上げた瞬間に黒い物体を3発ほど機体から切り離された。黒い物体がトラックの近くに来た瞬間,大きな衝撃と共に爆音を発した。 衝撃に吹き飛ばされた若い兵士は,ぼやけた視界とキーンと響く音に耐えながら振り向くと,何トンもあるトラックが街道の外へと吹き飛ばされていた。着弾した周りには身体を引き千切られた兵士の死体やうめき声に混じって血の海へとかしていた。 視線を上に向けると,さらに2機の敵機が緩やか降下し,着弾した場所より先のトラックは群れに向かって行くのが見えた。その2機が再び爆弾を投下した瞬間,若い兵士は耳を押さえて地面にうずくまった。 「あぁ神様。どうか私を助けてください」 若い兵士がそう呟くと同時に,押さえた手越しに再び爆音が響いた。
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