第三章 駆ける電狼たち

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「全車,傘型隊形を取る。警戒を怠るな!」 小隊長は無線機の受話器越しに命令を下す。他車は命令通りに小隊長車を先頭に傘型の隊形にし,キューポラから頭を出し,周りの警戒を始めた。エンジンは更に唸りをあげ,速度を増すと共に肌に当たる風の感触が一層強くなる。気分が高揚した戦車小隊長は,ふと鼻歌を歌いだす。軽快だがたくましい帝国野砲隊マーチを歌い出すのだった。 その後,M3スチュワート軽戦車小隊は前進を続けた。夜は仮眠を取りながら前進し,発見した情報を逐一無線で知らせながら行進を続けた。やがて,燃料切れで立ち往生している時に,後続の部隊と合流することができた。その際に,前線から50キロメートルも前進していたことが判明するのだった。 皇国租借地リベア首都皇国軍司令部 帝国軍の前進の報は直ちに司令部の作戦本部に伝わった。長テーブルに広げられたリベア全域を表す地図を囲む白色系・黄色系皇国陸軍幕僚が見守る中,前線の報告が読み上げられた。
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