第三章 駆ける電狼たち

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白色系皇国陸軍幕僚の言葉に,その場にいた白色・黄色系皇国陸軍士官たちは,「はっ」と掛け声と共に部屋を出ていく。幕僚たちは,その後ろ姿を静かに見送るしかできなかった。 首都の防衛司令部からの命令は,あらゆる手段を使って伝えられた。無線通信,バイクによる伝令兵,偵察機や連絡機が通信筒が命令を縦横無尽に使われた。そして,現場ではパニックが起きながらも,兵隊たちの後退作業が始まっていた。 「早くトラックに乗り込むんだ!急げよ」 「しかし,重機関銃座を解体して積まなければ」 「そんな物は置いていけ!敵はこの機会を逃さねぇぞ」 「はっはい」 機関銃座を解体しようとした兵士にトラックに乗った下士官が怒鳴りつける。やむなく解体を諦めた兵士は,急いでトラックに乗り込む。既にトラックにはたくさんの兵士が下士官が乗り込み,座ることもできないまま走り出す。 トラックが列を作って街道に出ると,街道を沿うように多くの兵士や下士官が行列を作って行軍している。しかし,行軍している兵士や下士官は,悲壮感を出したり,空を警戒したりと慌てながら移動をしている。
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