第三章 駆ける電狼たち

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さらに街道は,凸凹しており進む度にトラックの車体が大きく揺れる。その揺れに,兵士たちはお互いに身体をぶつけながら必死になって倒れないように支え会う。 「くそ!もっと丁寧に運転くれよ」 「苦しい。もっと詰めてくれ。俺たちが圧死しちまう」 「我慢しろよ。もう詰められないんだ」 トラック内で様々な意見が飛び交い,必死に兵士たちはトラックの荷台に捕まる。その様子を,小銃を肩に担いで歩く若い兵士が,ふと後ろを振り向く。北の方角から黒い粒がだんだんと近づき,同時に音がどんどんと大きくなってくる。 「敵機だ!みんな敵機だ!逃げろ!」 若い兵士ができるだけ大声で叫ぶと,それを聞いた周りの兵士たちが悲鳴を挙げながら我先にと逃げ出す。聞こえていた音は爆音へと変わり,街道へと逃げる皇国軍の兵士たちに敵機が迫ってきた。
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