第一章 開戦

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野党が言った海軍案と陸軍案とは武力解決の際に陸軍省、海軍省で立案され、陸海両軍大臣が議会に発表した物である。 海軍案は「レイブラン」に陸軍を上陸させて武力占領し、共和国が海軍を派遣した所を海軍が出動して殲滅させ、交渉に臨む案に対して陸軍案は「レイブラン」を占領せず海軍護衛の元、直接共和国に上陸し、占領地を広げて共和国に交渉に臨むと言う物だ。 野党も与党もこの両案をどちらか選ぶにしても世界大戦に発展する事は十中八九理解している。だが国民は共和国の態度に怒りだしている。 内閣総理大臣、近衛一道が起立し 「我々与党は共和国との早期講和を実現すべく海軍案を指示する。いたずらに大陸を侵出する事は皇国経済に大きな負担を強いる事を充分承知しているのだ。」 と言って着席する。 そこにすかさず反論意見を述べる者がいた。皇国総軍事長官、赤松正二大将だった。 「大臣殿、貴方は海軍案を指示するともうしますがそれは共和国に我が皇国軍は海軍力でしか太刀打ちできないと申していると同じです。それに国民が納得するとお思いでしょうか?」 と告げ着席する。 与野党ともにザワザワと騒ぎ出す中、赤松正二大将は心の中で 『陸軍案を採択されなければワシの利益が殆どないからの、ここは何としても陸軍案にしなくてはな』 と思うのであった。
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