裏切り

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-- 「不気味な輝きに見えるのは、私に原因があるのでしょうね……」 王宮の一室から見える始まりの鐘を見つめながら、シルは1人呟く。 特別な力がある訳ではない。 ただ、過去に一度も鳴った事の無い鐘。 この大陸中にあるその鐘は、人類が栄えるより前からあると伝えられている。 「誰か居ませんか?」 シルは始まりの鐘から視線を移すと、近くに控えている侍女を呼んだ。 「はい、こちらに」 若い女が姿を現し、その場で膝を付く。 「あの少女を連れてきて下さい。それと何か飲み物をお願いします」 「かしこまりました」 侍女はすぐに下がって行く。 その侍女を見送ったシルは、深いため息を吐いた。 「この王国が揺らぐ事があってはいけませんからね」 シルはそう呟きながら再び始まりの鐘を見つめ出した。 そして、暫く時間が過ぎた時、侍女が少女を連れて戻って来た。 体を震わせるその少女に「何もしませんよ」と優しく囁きながら、椅子に座るように促した。 「まずは名前を教えて下さい」 俯きながら座る少女に刺激を与えないように聞くシル。 そんなシルに少女は「リリィー」と名乗った。
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