予兆

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テーブルには、色とりどりの料理が並べられている。 そこから立ち上がる料理の香りが、アキュアの鼻孔を刺激した。 「何度見ても、フリックの料理は凄いな」 アキュアは、ただ感心する。 「酒ぐらい準備して欲しいけどな」 フリックは、にやけながら2つのグラスに酒を注いでいった。 甘い香りが漂い、食欲をそそっている。 2人はテーブルを囲んで腰を下ろすと、ゆっくりとグラスを傾けた。 そして、フリックの作った料理を口にしていく。 「うん……美味い」 「当たり前だ」 2人はゆっくりと料理を楽しんでいた。 長い争いが終わり、ようやく手に入れた2人だけの時間。 このまま幸せな時間が過ごす事が出来れば、どれだけいいか。 お互いが相手の事を知り尽くしているだけに、わざわざ口にする事はない。 だが、同じ考えをしているだろう事は分かる。 「ミランが心配か?」 料理を食べ終えたフリックは、グラスを傾けているアキュアにそう声をかけた。 そのアキュアは、表情を暗くしながらグラスをテーブルに置いた。 「言わなくても分かるだろう」 「まぁな……」 2人は、お互いの顔を見つめ合った。
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