再開

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「ところで……」 シルはフリックに一緒に来るように促すと、部屋から出て行く。 そのフリックは、シルの雰囲気が微妙に違う事に気付いた。 「様子が少し違うように感じたのは気のせいか?」 シルの背中を見ながら進むフリック。 間違い無くいつもと違う。 何が違うのかと問われたとしても、フリックに答えは見いだせないだろう。 そんな些細な変化なのだ。 「では話してもらいましょう」 人気の無い所まで来た2人は、お互いに向き合っている。 そして、腕組みをしながら言った。 「フリックの報告書だけでは肝心な部分が分かりません。信頼に値するエランが何故裏切ったのか。奴隷制度が存在している事は分かりますが、その規模がどの程度なのか……」 「もう少しで死ぬ所だったんだぜ?しかも、牢に入れられてな。そんな状態でどうやって調べるんだ?」 「それは、あなた方の問題でしょうに。いいですか?ガロル領の兵を倒してしまっては、王国が謀反を侵したように見えるのですよ?」 「ならば、素直に死ねば良かったと?」 フリックはシルに対して嫌悪感を感じ始めていた。 こんな事を言う男だっただろうかと。
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