再開

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「俺たちは軍から抜けた身だ。お前に指図される覚えはないな」 「確かに軍から出て行きましたが、あなた達の存在感はこの王国には必要です。しかも、周辺国にまで名前が知れ渡っているのですよ。私の立場上、使わない手はありません」 シルは真剣な表情をしていた。 それはフリックでなくとも分かる。 それだけに気になってしまう。 シルがこれほど真剣に物事を言う男だったのかと……。 軍務郷として、この2年間過ごした事は知っている。 その重圧の中で、シルが変わったとも考えられるのだが、何かが引っ掛かるのだ。 「あなた達2人は戻るべきです。それこそが---」 「いいぜ?」 シルに最後まで言わせる事無く、フリックは復帰する事を認めた。 「アキュアが目覚めれば自ずと戻る事になるさ。ただし条件があるけどな」 「人選は任せますよ」 2人は笑った。 やはり、長い付き合いなのだ。 フリックは、さっきまでの違和感は気のせいだと思った。 「明日から人選に入る」 「分かりました。期待しています」 シルはそう言うとフリックに背中を見せた。 その時、シルは不気味な笑みをこぼした事にフリックは気付かなかった。
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