再開

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ライラが湯浴みをしている間、シオンはフリックと2人で話をしていた。 特に、この2年間の生活振りを嬉しそうに話すフリックに、シオンも嬉しくなっていた。 「まぁ、アキュアの料理は未だに食えないな」 「アキュアさんの料理する姿は想像出来ないですよ」 そう言って笑い合った。 「俺たちは本当に幸せだったよ……。だが……」 そこでフリックの表情が険しくなっていく。 あからさまの表情に、シオンも気を引き締めた。 間違い無くこれからが本題なのだ。 「アキュアは魔石の粉を吸ったらしい」 「魔石ですか?」 「そうだ。しかも、何の魔石なのかが分からない」 フリックは「まいったね」と額に手を当てた。 「グラン王国に魔石があるんですか」 「あるらしいな」 ガロル領で使った魔石を懐から取り出したフリックは、それをシオンに手渡した。 「これって……」 薄紫に輝く魔石。 シオンは、どこか懐かしいような感覚を覚えた。 「お前はこの魔石が何か分かるのか?」 シオンは以前、天使の涙と呼ばれる魔石を持っていた。 その魔石は氷を司る神々の子供で、何度となくその力を使ってきていた。
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