再開

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はっきりしない……。 その言葉はシオンと俯くライラの心に響いた。 この2年間、2人で共に行動しながら、お互いの気持ちを伝えた事は無かった。 「オレは……」 シオンは何か言わなければと口を開こうとする。 ライラもシオンの一言で体がピクリと動いた。 だが、フリックは魔石を手に取り、睨むように見つめている。 「フリックさん?」 「お前たちはこれからどうするんだ?」 フリックの突然の言葉は、シオンとライラに重くのしかかった。 「どうするって……何がです?」 「俺は明日、軍に復帰するつもりだ」 フリックの目は真剣だった。 ライラが湯浴みをしていた時、楽しそうに話をしていたフリック。 それだけアキュアとの幸せな時間を過ごしてきたフリックが、魔石を見つめながら復帰すると言ったのだ。 「明日になればアキュアも目覚めるだろう。一度、アキュアに会ってから王宮へ行く。シオンよ……お前もアキュアと会えば戻れなくなるぜ?」 「フリックさん……」 「久しぶりの再開で嬉しかった。今夜はゆっくり休んでくれ」 フリックはそう言って立ち上がると、2人を残して部屋から出て行った。
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