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シオンの視界が暗くなっていく。
片膝を着き、うずくまるシオン。
「シオン!?」
ライラがシオンの肩を抱き、体を支えようとした。
そのライラの脳裏に、老人の姿が浮かぶ。
「誰だ?」
返事はない。
だが、ライラにはハッキリと老人が何かを語っている姿が見えていた。
「フリック……さん……魔石を……」
シオンはフリックに魔石を取り出すように言った。
「これか?これをどうするんだ?」
「アキュアさんに向かって……弾いて…さい……」
シオンはアキュアに魔石を使えと言ったのだ。
フリックはそのシオンの言葉に躊躇する事なく実行する。
アキュアに向けた魔石を指で軽く弾いたのだ。
バチバチと火花がほとばしり、その火花が雷光に変化していった。
「いくぜっ!」
フリックは再びパチンと指を弾く。
魔石に取り巻く雷光は、アキュアに向かっていった。
眩いばかりの光が部屋中を覆い隠す。
凄まじいまでの轟音が響いた。
「アキュア……」
フリックはアキュアの笑顔を思い浮かべた。
そんなフリックの思いに応えるように、その雷光はアキュアを包んでいた。
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