再開

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「暫くは眠りから覚めないかもしれませんね」 光る汗を拭き取る神官は、そう言って振り向いた。 「その魔石は天使の涙ですね。雷光を司るラムドだと思います」 「ラムド?」 「神々の子供の中で、最後まで眠りに着かなかったと伝えられています。詳しくは巫女様からお聞き下さい」 神官は「水を入れ替えてきます」と言って部屋から出て行った。 「この魔石が天使の涙だと?」 フリックは改めて魔石を見つめていた。 薄紫に輝く魔石は確かに綺麗なのだが、天使の涙と言われても実感が無い。 「この石の事は後からだな。ここは神官に任せて王宮へ行くぞ」 眠るアキュアを一度見つめ、フリックは「行くぜ」と言った。 「行こう」 シオンもライラの手を取りフリックの後に続いた。 「何かが起こっているんだ……」 シオンは呟く。 砂漠の空を見た時、シオンは何とも言えない感覚を覚えた。 恐らくこの事だったのだろう。 このグラン王国は、再び戦火にまみえようとしているのかもしれないと、シオンは思った。
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