再開

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-- ミランは嫌な胸騒ぎを感じていた。 それが何なのかは分からない。 ただ、窓から見える始まりの鐘が、今日は不気味な色に見えた。 ミランは溜め息を吐く。 こんな時は、決まって嫌な知らせが来るのだ。 「失礼します」 侍女の声がいつもと違うように感じた。 「何でしょう」 ミランは平静を装い返事をする。 「フリック様がお供の方とお見えになっています」 「フリックですか?」 ミランは、そんな侍女の言葉に鼓動が高鳴るのを感じた。 「分かりました。すぐ行きます」 ミランは護衛を引き連れて部屋から出て行く。 向かう先はフリックの待つ客室だった。 懐かしい名前である。 シルとは何度も会っているようだが、こうして改めて会うとなると何年振りなのだろうか。 そう言えば、侍女は他にお共が居ると言っていた。 まさかアキュアが来たのだろうか。 いや……アキュアなら、誰もが知っている。 それならば、アキュアの名前も出た筈なのだ。 「では、一体誰が……」 ミランは呟きながらも、フリックの待つ客室に到着していた。
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