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「シルからの許可は貰ってあるさ」
「それなら、どうして私の所に?」
軍の事については、全て軍務郷が担う事になっている。
つまり、軍に戻るからと女王であるミランにわざわざ伝えに来る必要は無いのだ。
「話を聞けば分かるさ」
フリックはそう言って懐から1つの石を取り出した。
「綺麗ね。それを見せる為に?」
ミランも忙しい身なのだ。
この王宮でやらなければならない事が山ほどある。
そんなミランに「この石は何に見える?」とフリックは言いながら、石を手渡した。
「これは……神官の持つ魔石に見えるけど……少し感じが違うようにも見えるわね」
ミランは薄紫に光る石を見つめる。
何とも不思議で、それでいて心が落ち着くような気もした。
「それは天使の涙らしい」
「まさか……」
ミランは驚いた。
何故、フリックが持っているのかと、不思議そうな顔をする。
「これはガロル領で手に入れたのさ。どうやら魔石が採れるらしいな」
「魔石が採れる?」
「シルから聞いてないのか?」
ミランはフリックのその言葉に頷いた。
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