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「では、私達の再開に」
ミランはグラスを手に取ると、ゆっくりと立ち上がった。
それを見たフリックもグラスを手にして立ち上がる。
「お前達も立てよ」
フリックが小声で囁くと、慌ててグラスを手にする2人。
「かしこまらなくていいわよ」
ミランは笑いながらそう言うと、グラスを前に傾けた。
「乾杯」
ミランのその一言で場の雰囲気が和らいでいく。
王族の食事は、やはり緊張するのだ。
「ゆっくりと食べて欲しい所だけれど、フリックが許してくれそうにないわね」
「すまんな。話さなきゃならない事があるんでな……」
「いいえ、気にする事はないわ。私が祝宴を開いたのも、フリックの話を聞いてからだと、何も喉に通らないような気がするからなのよ」
この場にアキュアが居ない。
つまり、フリックの話はアキュアと魔石が関係している。
ミランは、そう確信していた。
それなのに祝宴を開く自分の神経の太さに、思わず苦笑いしてしまう。
「私も王族の仲間入りって事ね」
誰に言うでもなくミランは呟いていた。
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