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「----以上が、ここまでの報告だ」
フリックはガロル領での出来事を全て話していた。
ずっと黙って聞いていたミランの表情は暗く、声を掛けるタイミングが分からない。
「アキュアもガロル領で採れた魔石の粉を吸ったらしい」
「アキュアは……今は眠っているのですね」
「さっき見せた魔石と神官の力で眠っている」
「そうですか……」
全ての話を聞かされたミランは、何を信じていいのか分からなくなりそうだった。
「とにかく、アキュアの事は神官に任せるしかありませんね」
「そうだな……。今、俺達が出来る事をするしかない」
フリックは空になったグラスに酒を注いでいく。
「そうですね……では、リリィーから詳しい話をしてもらいましょう」
「リリィー?」
「あなた達を襲った刺客の名前ですよ」
ミランはそう言って立ち上がると、下がるように命令した護衛を呼び出した。
「これから大地教団の神殿に向かいます。あなたは、後の事を頼みます」
「分かりました。お気をつけて」
護衛の男はそう言って頭を下げると、不機嫌そうに部屋から出て行く。
「いい度胸だな」
フリックは護衛を見て呟いていた。
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